没関係、メイグワンシー。
二泊三日で台南に行ってきた。台北から更に南に2時間弱。こじんまりした古都だ。
初日から飛行機が遅れ、着いたら21時とかだった。とにかくご飯だ!と武聖夜市に繰り出して、大鶏排(ダージーパイ)とつみれスープを手にれ、台湾啤酒で乾杯してると、屋台のおじさんに「日本から来たの?」と聞かれた。
声をかけられたのが嬉しくて、「日本ー!」と返してからつみれスープをもりもり食べていると「これはサービス」と言って、塩味のさっぱりした焼きそばみたいな麺を持ってきてくれた。私がその屋台で使ったのは、わずか90元なのにだ。
メイグワンシー。没関係。日本語で気にしないよ。それぞれがそれぞれの範囲の中で、迷惑を受け入れる。台湾人が持つ道徳性の事だ。私はこのメイグワンシーにこの日から悉く助けられる事になったので、その話を記録しようと思う。
2日目は朝から台南の街に繰り出した。この日は午前中は25度くらいで、歩き回ってるとじんわりと汗をかく陽気だった。牛肉湯で腹ごしらえをした後で、「大観音亭」の月下老人さまに会いに行ったが、どこにいらっしゃるやら分からない。
困ってキョロキョロとしてると掃除のおばちゃんがじわじわと近付いてきた。しかし、私は英語が出てこなかったので、中国語で月下老人さまの居場所を聞こうとスマホを取り出す。なんと、そうやってGoogle翻訳でモタモタしてる間もおばちゃんは横で待ってくれているのである!結局、月下老人さまには会えたものの、参拝の仕方が分からず、とりあえず花を買って添えて祈ってきた。多分間違っていました......。
例えは悪いけど、アメリカだったら待っていてはくれないだろう。その次に行ったルーローハン屋のおばちゃんも日本語が達者で、良くしてくれた。
良く日本人は「台湾は親日だ」と言うけれど、それは失礼な気がする。台湾人はたとえ相手が日本人でなくても、親切にするからである。そう育っているから。
2日目の最後に台南の南西にある塩田に行った。市街地からは車で1時間は離れた辺鄙な地だ。そこで日没ちょうどには間に合わなかった夕陽を見て、寒さがこたえながらホテルに戻ろうとするが、タクシーが捕まらない。Uberで何度呼んでも来てくれない。
途方に暮れ困っていた時、出店の主人が近付いてきた。中国語で何か言ってる。とりあえず携帯で「タクシーがなかなか捕まらないんです」と見せると、こっちで呼んでやると言う。そこに観光センターの女の人も加わり、わざわざ呼ぶ前に「ホテルまで900元だそうです。大丈夫ですか?」と携帯を使って聞いてくれた。
その後、タクシーを待つ私たちに熱々の卵をくれたり、立って待っていたところに椅子を持ってきてくれたりした。凍死寸前だったので私たちは半泣きであった。
気にしないよ、迷惑でも。
この間、新橋で転んだ時(気をつけて下さい)、誰も見向きもしてくれなかった今の日本人を想う。東京人は冷たいと言われるのが、東京人として長らく切なかったが、事実であるのは否定できない。
台湾人が持つメイグワンシーの精神を、私は大切に胸にしまい、日本に持ち帰ったのであった。
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